障がい者施設は、健常者施設とは異なり、利用者である障がい者に合わせた仕様にする必要があります。
では、どのような「しつらえ」にすればよいのでしょうか。
今回は、弊社の設計仕様に基づき、知的障がい者施設等の設備や仕様について詳しく解説します。
障がいをお持ちの方々は、身体障がい、精神障がい、知的障がいなど、障がいの種類やその程度がさまざまです。
その施設に応じた仕様にする事によって、利用者と施設運営側が共に使いやすく、快適な環境になります。
障がい者施設は高齢者施設と同様に、利用者の安全性を第一に考えなければなりません。
目次
障がい者施設の室内ドアの仕様
施設によっては堅牢な鋼製建具を使うところもありますが、重量があるので、ケガなどのアクシデントが起こりやすいです。
また、軽量の鋼製建具は表面が凹みやすく、なにより鋼製建具の持つ重量感が施設っぽい感じになることは否めません。
では、木製建具ではどうでしょう。
もちろん既製品の木製建具では強度は低く、障がい者施設には不向きかもしれません。
施設に使う木製建具はフラッシュ戸というドアの形の木枠に合板を貼る扉がほとんどです。
この木枠に貼る合板の強度を上げるために厚みのあるものにして、木枠の桟のピッチを狭くすることによって堅牢さが増します。
障がい者施設では堅牢で温もりのある木製建具をおすすめします。
照明にふさわしいスイッチ
知的障がい施設で多いのが、入所者が照明などのスイッチを不必要に入り切りしてしまう事があります。
昼間はつけて、夜間は消そうとするという逆転状態にする方もいます。
この場合は通常の押すタイプのスイッチではなくて、平たい棒を挿して制御するスイッチ、具体的には 埋込キースイッチ または 埋込タブレットスイッチ に変換すると解決します。
埋込キースイッチ
細い穴に平たい棒状のキーを差し込んで制御
水栓金物
洗面や手洗い場での水栓を出しっぱなしにしたり、中には水をひたすら飲んでしまう方もいたりします。
一般的な手動の蛇口ではこのような事が起きるので、障がい者施設では自動水栓にするとこのような問題を解決できます。
また、自動水栓にすることにより節水の効果もあります。
寝室の照明
個室のベッド上の照明はダウンライトやシーリング照明ですと、横になったときに目に直接光源が入り眩しいので、ベッド周りだけでも間接照明にすると障がい者は安心します。
これは、障がい者だけでなく、健常者の寝室でも同様です。
障がい者グループホーム事例
室内壁の仕様
精神障がい施設や知的障がい者施設で、壁に当たったりして壁が破損する場合があります。
通常の介護施設などでは石膏ボードで12.5㎜厚のものを使いますが、強く当たったりすることでこの仕様だと破損します。
障がい者施設では高強度の石膏ボードを貼るなど、壁面の強度を高めにすることで破損しづらく、破損した際のケガも防げます。
床の仕上げ
何かのきっかけで転倒する事を考えると、床はクッション性のある材料が良いです。
また、食堂、トイレ、脱衣室などでは何かをこぼしてもすぐに拭けるメンテナンス性に優れた長尺の塩ビ製シートを敷設するのがおすすめです。
トイレや脱衣室など汚れがつく可能性のある場所では、防汚、消臭、耐薬品性などの高機能床シートが良いでしょう。
長尺塩ビシート自体は固いのですが、その下にアンダーレイシートというクッション性のある下地シートを敷設すると転倒時のアクシデントに対応できます。