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定期報告|防火設備検査

更新日:4月15日


定期報告 防火設備検査

定期報告制度のなかで、平成28年6月の

建築基準法の改正で追加されたのが防火設備定期検査報告です。


平成25年に福岡県福岡市の有床診療所で

起きた火災事故や、それ以前の他の火災事故で防火設備が未設置の問題を受けて導入されました。


今回は防火設備検査の定期報告制度についてご案内いたします。

 

目次

・定期報告防火設備検査とは?

・防火設備の種類について

・防火設備の検査方法は?

・防火設備の検査の周期は?



定期報告防火設備検査とは?


病院、高齢者施設、障がい者施設など不特定多数が利用する特定建築物では、建物内の防火設備が適切に機能しているかを定期的に確認するための検査です。

この検査は、火災が発生した際に建物を利用する不特定多数の人々を守るための重要なプロセスで、建築基準法に基づいて実施されます。


対象となる防火設備は、防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーなど多岐にわたります。これらの設備が適切に動作し、火災の際には正しく機能するかを確認します。


防火設備定期報告検査が導入される前は、特定建築物定期調査で防火設備全般の報告が必要でした。現在でも、常時閉鎖される防火扉については、特定建築物の定期調査での報告が必要ですので注意が必要です。



防火設備の種類について


① 防火扉(随時閉鎖式)

防火扉(随時閉鎖式)とは、通常は開放されているが、火災が発生した際に自動的に閉じるタイプの防火扉を指します。 防火扉は建物内の火災による火炎や煙の拡散を防ぎ、火災からの避難時間を確保するための重要な設備です。


随時閉鎖式の防火扉は、火災感知器からの信号を受け取るか、取り付けられている温度ヒューズが一定の温度に達すると溶解し、それによって扉が自動的に閉じる仕組みになっています。 この機能により、火災発生時には火炎や煙ガスの流出を防ぎ、同時に火災の進行を遅延させる役割を果たします。また、定期的な検査とメンテナンスにより、これらの防火扉が確実に機能するようにすることが求められます。


防火扉には2つの種類があります。一つは常時閉鎖されている扉(常時閉鎖式)であり、もう一つは通常は開いているが、火災を検知すると感知器からの信号を受けて閉鎖されるものまたは、温度ヒューズが扉に取り付いていて、ヒューズが火災時に溶解して扉が閉鎖されるもので、火の回りを防ぐ“随時閉鎖式”の防火扉です。

防火設備検査では、随時閉鎖式の防火扉が対象となります。



② 防火シャッター

防火シャッターは、一般的な店舗などで使用されるものとは異なり、建築基準法で義務付けられている防火区画に設置される防火性能を持ったシャッターです。

感知器で連動するか、非常用ボタンで閉鎖するタイプがあります。


防火シャッターには人が挟まれも大丈夫なように、シャッターの底部にある座板に障害物が接触し感知すると、シャッターが一時停止する危害防止装置があります。

危害防止装置は障害物がなくなると、10秒後に自動的に閉まる装置が作動し、シャッターが閉じます。

危害防止装置は平成17年12月に施行されております。



③ 耐火クロススクリーン

耐火クロススクリーンは、ガラスクロスで作られたスクリーンをエレベーターのドア前に下ろし、火炎と煙ガスを遮り、竪穴区画経由の延焼を防ぐ役割を持ちます。

エレベーターは上下に移動するため、エレベーター昇降路は煙突のような状態になります。そのため、昇降路を通じて延焼する可能性があるため、遮煙機能を持つ耐火クロススクリーンが必要です。


エレベーター昇降路は、平成14年6月の建築基準法の改正により、遮煙機能を備えた防火設備で区画する義務が定められた結果です。

現在では、エレベーター乗り場そのものに遮煙機能が備わっているため、エレベーターと耐火クロススクリーンの組み合わせは少なくなりました。


定期報告 防火設備検査 耐火クロススクリーン 















←こちらはエレベーター扉前の

 耐火クロススクリーンを

 下げ下した状態






④ドレンチャー

ドレンチャーは、周囲の火災から建物内部に引火しないようにするために、水を噴射して建物の外壁周りに水のスクリーンを作り、延焼を防止する装置です。

スプリンクラーのように消火はせず、火災が燃え広がるのを防ぐのが目的です。


ドレンチャーは主に軒先や開口部などに設置され、建物の外周を周囲からの延焼から守ります。放水時は遠隔起動押しボタン操作、開放弁の操作または周囲の火災を監視する検知器と連動し、ドレンチャーヘッドから一斉に放水されます。

ただし、ドレンチャーは外部からの火災を防ぐためのものであり、建物内部からの火災の消火には効果がありません。



防火設備の検査方法は?


① 防火扉(随時閉鎖式)

防火扉(随時閉鎖式)の検査は、防火扉がしっかり閉鎖し、その周りに扉の閉鎖を妨げる物品等、障害物が放置されていないかも含まれます。

次に、扉やその枠が劣化していなく、ダメージを受けていないことを見ます。

また、扉が正しく取り付けられているかも大切なチェックポイントです。


さらに、扉がスムーズに開閉するかを確認します。

火災の煙や熱を感知する装置が正しく設置され、きちんと作動しているかもチェックします。

防火扉が自動で閉じるためのシステムもしっかり機能しているか確認し、その中のスイッチや表示灯、接続部の状態なども見ます。

電源が切れた時に備え、バッテリーの状態や容量も確認します。


最後に、竪穴区画の形成状況を確認します。

これにより、防火扉が適切に配置され、火災の発生時に効果的に機能するかを評価します。以上の各要素を確認することで、防火扉の機能が適切に保たれているかを把握することができます。



② 防火シャッター

防火シャッターの検査は、防火区画の防火シャッターが適切に閉じられことが重要です。シャッターの適切に閉じられことが重要です。

これには、駆動装置の確認、軸受け部のブラケット、巻取りシャフトや開閉機の取り付け状況、スプロケットの設置状況などが含まれます。

また、軸受け部のブラケット、ベアリング、スプロケットやロープ車、ローラチェーンやワイヤロープなどの劣化や損傷の状況も重要です。これらが適切な状態でないと、シャッターの作動が阻害され、防火性能が低下する可能性があります。


次に、カーテン部分のチェックを行います。スラットや座板の劣化、吊り元の劣化や固定状況などを見ることで、シャッターの防火性能を維持するための適切な状態か確認します。

シャッターケースのチェック、まぐさやガイドレールの劣化、損傷状況も見逃すことはできません。

さらに、危害防止装置のチェックも必要です。座板のセンサーの状況を確認しましょう。

それから連動中継器の配線状況、予備電源の劣化や容量、座板感知部の劣化や作動状況などを確認し、確実に作動することを確認します。



③ 耐火クロススクリーン

耐火クロススクリーンの検査は、防火扉、防火シャッターと同様にエレベーター前の耐火クロススクリーンが適切に閉じられことが重要です。これも同様にその周りに閉鎖を妨げる物品等、障害物が放置されてなく、適切に閉じられことが重要です。


それから、スクリーンを動かす駆動装置の確認、その部品が劣化や損傷を受けていないことをチェックします。

スクリーン自体やスクリーンとその取り付け部分が適切に機能し、劣化や損傷がないことを確認します。同様に、ケース、まぐさ及びガイドレールも目視にて劣化や損傷がないことを確認します。


次に、スクリーンが緊急時に適切に閉じることを確認するために、危害防止装置をチェックします。これには、装置の電源や配線が適切に機能していること、感知部が作動していることなどが含まれます。


また、煙や熱を感知する機器の状況も確認します。これらの感知器が適切な位置に設置されていて、正しく感知できるかを見ます。

最後に、スクリーンが自動で閉じる装置と手動で閉じる装置、どちらも適切に作動するかを確認します。そして、全体的にスクリーンが閉じて防火区画を形成できるかを確認します。



④ ドレンチャー

ドレンチャーの検査は、ドレンチャーが設置されている場所の周囲を確認します。

ここでは、放置された物品がドレンチャーの作動に支障をきたさないようにすることが重要です。

次に、散水ヘッドの設置状況を見ます。これは、火災時に水を適切に散布するための部品です。

また、ドレンチャーの開閉弁の状況もチェックします。変形や損傷、著しい腐食がないかどうかを確認します。


ドレンチャーの水が適切に排水されるかを確認するために、排水設備を見ます。水源についても同様にチェックし、貯水槽の劣化や損傷、水質や水量、そして給水装置の状況を確認します。

ポンプ制御盤についても、スイッチ類や表示灯、接続や接地状況、そしてポンプや電動機の状況を確認します。


さらに、予備電源の状況と切り替え状況、容量も見ます。付属装置として、圧力計や呼水槽、起動用圧力スイッチ等の状況も確認します。

ドレンチャーを作動するのに煙や熱を感知する装置の状況も見ます。これらの感知器が適切な位置に設置されていて、正しく感知できるかを確認します。

最後に、制御盤の状況、連動機構用予備電源の状況、自動作動装置と手動作動装置の状況をチェックします。



防火設備の検査の周期は?


対象となる防火設備の定期報告検査の周期は、どのエリアの建物でも1年に一度(各年度ごと)検査を行い、報告をしなければなりません。

また、検査間隔は前回より6か月~1年おくことになっています。建築設備の定期報告検査と同じく毎年の定期報告が必要になります。



《e-style 株式会社の定期報告サービス》


定期報告 パンフレット


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