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  • estyleishii

特定建築物 定期報告|気がつかない是正事項

更新日:4月15日


定期報告 特定建築物調査 外壁打診調査

特定建築物定期報告で調査を行ってみると建物の老朽化で、チェックを受けた是正事項で、所有者、管理者の方が意外と気がついていないものがあります。


今回は、特定建築物の定期報告で、気が付かないうちに是正になっていた事例をあわせてご紹介します。


 

目次

・屋上面の劣化及び損傷の状況

・はめ殺し窓のガラスの固定の状況

・外壁の劣化及び損傷の状況

・まとめ


屋上面の劣化及び損傷の状況


病院や高齢者施設などでは、屋上を設けている建物が多いかと思います。

屋上を利用者が使うようにしている建物もありますが、多くはエアコンの室外機やその他設備機器を据え付けて、管理用に屋上に出れるようにしている建物がほとんどです。


管理のためだけに屋上に出ることがないと、建物が老朽化して不具合が発生しても気づきにくいことが多く、以下の事例も全く管理者の方が知らずにいたところ、定期報告の調査で発覚した事例です。


屋上防水の亀裂

一つは屋上から雨漏りを防ぐ防水層に亀裂が入っていた例です。

排水ドレーンの脇のシート防水が、ドレーンまわりで完全に破れていて、シートが浮いている状態です。


こちらの建物は、2階建ての鉄筋コンクリート造の建物ですが、この調査の前になぜか2階ではなく、1階のホールで雨漏りが発生していたそうです。


おそらく屋上から伝った雨水が、1階まで流れて漏水したようです。

この調査の後、屋上防水をやり替えて改修し、現在は漏水が止まりました。





屋上に繁茂する植物

屋上で見かける次の是正事項は、屋上面に植物が繁茂してしまう事例です。


なぜ、屋上に植物が生えるのか?


考えられる原因の一つは、風に乗って飛んできた種子が屋上に着地して、発芽、成長するパターン。

もう一つが鳥の食べた木の実が糞の中にあり、落とされた実の種子が屋上で発芽するもの。


こちらの写真は1mほどあるアカメガシワという樹木です。成長が非常に早く、一度生えてしまうと撤去が大変厄介な木です。


屋上面に樹木などの根が生えると、防水面を突き破り、漏水の原因になります。



はめ殺し窓のガラスの固定の状況


はめ殺し窓 ガラスの割れ

はめ殺し窓とは、ガラスがサッシに固定されている窓のことです。

人の出入りが少なく、換気が必要ではないが、採光が必要な窓にはめ殺し窓使います。


出入りが少ない場所は、人の目に触れない場所も多く、なにかのきっかけでガラスが割れていても、そのまま放置されていることがあります。


こちらはエレベーターホールのはめ殺し窓のガラスの割れ。

天井に近いところで、人の視線に入りにくいところが割れていました。

風の強いエリアの施設で、なにか物が飛んできて当たった可能性があります。



外壁の劣化及び損傷の状況


外壁は風雨にさらされているので、建物の中では屋上の次に経年劣化が早い箇所です。

特に最近では、気象の状況が激しくなることが多く、建物にとってはますます厳しい環境になっています。


外壁 爆裂

こちらは最上階の外壁部分です。

外壁のコンクリートが割れて、左側は錆びた鉄筋が露出しています。

この場所も下から見上げると、ひさしが視界を遮るので発見が難しい場所でした。


これは爆裂という事象で、発生したクラックから雨水が侵入し、中にある鉄筋が錆を発生。錆は体積が膨張するので、鉄筋を覆っているコンクリートを押し出してします状態をいいます。


鉄筋コンクリート造は、押す力に対して強いコンクリートと、引っ張りに強い鉄筋の組み合わせで、初めて強い構造体になるので、爆裂は決して起こしてはいけない事象です。

このようになってくると、早急に改修工事をすることが必要です。


改修方法は露出している部分とクラック部分の鉄筋を表すように、コンクリートを削り取り鉄筋を露出させて、鉄筋の錆を完全に除去、防錆処理。その上から樹脂モルタルやポリマーセメントモルタルという材料で埋め戻し成型します。






今回のまとめ


今回の事例は、所有者、管理者の方が気がついていなかった定期報告で是正事項となる事象をご紹介しました。指摘事項によっては発覚後、すぐに対処しなければ不特定多数の利用者に危害を与えてしまうので、特定建築物の定期報告は必ず行う必須事項だと認識していただければと思います。




定期報告 パンフレット



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