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〒154-0022 東京都世田谷区梅丘1-13-12 UMECUBE401
一級建築士事務所
e-style(イースタイル)株式会社
安全面(衛生面)
POINT-01
あなたが小さなお子さんをお持ちだったら、どんな保育園や幼稚園に預けたいと思いますか?
第一印象として、園内でにこやかに遊び、楽しんでいる子どもたちを見て、親は安心して施設に預けようと思います。
親の安心感を得るためには幼稚園、保育園等の幼児施設の安全性を確保しなければなりません。
実は施設内で職員が最も多く危険を感じる事象は転倒、衝突、遊具使用中のケガと言われています。また、3歳児以下の低年齢児になると睡眠中、食事中、水遊び中におおきな事故が起きるデータがあります。
子どもたちは想像力がとても豊かで、いろいろなことに興味が多い分、大人が思いもつかないことをして想定外のトラブルを起こすことがあります。
起こる前に対応する。それは建物を設計する我々の役目だと考えます。
例えば、転倒事故にはクッション性のある床材を用い、転倒時の吸収性を高める。壁の角に頭をぶつけても角ばってなく曲面の仕上材でケガを防ぐ。指詰めをしないようにドア等に防傷材を付加する。トイレなどの水回りでは、床にこぼれた水により、足元が滑りやすくなり、転倒事故が起こらないよう防滑性の床材を提案するetc。施設側で対応できることは考えつく限り行い危険性を回避することにあります。
楽しさ
POINT-02
遊びの天才である子どもたちはどんな場所や空間でも遊びや学びの場として楽しめてしまう特性があります。幼児施設ではより子どもたちがいきいきと楽しめる空間になるかは、建物の計画に左右されてしまいます。いろいろな経験が少ない子どもたちを、それぞれの特性に応じて自発的であったり、自主的な活動を促すような部屋のレイアウトや、園舎と園庭との配置が大事です。それらは環境の変化の多様性が楽しさのファクターと言えるでしょう。
自然光の採り入れ方や風の通り方、建物内で起こる音の響き方は自然の移ろいとして変化があり面白いです。具体的には戸外室と呼ばれる半屋外空間は、中庭、屋上、園舎周りの縁側等では
光や風を。大きなホールや吹き抜けと小さなほら穴のような空間では音の響き方が違います。
また、子どもたちは空間の変化にもとても敏感です。天井が高く大きなホールで力一杯エネルギーを発散させることもあったり、小さくて狭い空間でときは落ち着いて本を読んだり、おままごとをすることも楽しい遊びです。
これらを計画に入れるとずいぶんと環境に変化が付き、楽しい園舎となります。
全体のバランスを考慮し園舎と園庭、戸外室空間の連続性と変化を考えた演出をし安全性を考えつつ計画すると良いでしょう。
防犯性
POINT-03
最近は予想もできない事件が増えてきました。
子どもを預かる幼児施設として、最も防ぎたいのは園児を狙った犯罪です。特に近年では情報の流出から犯罪に結びつく可能性もあり、厳重な管理体制が必要です。
園児を狙った犯罪以外で実際にあった事件として、夜間の施設に入り込む窃盗事件があります。2014年に幼稚園等の教育施設で起きた犯罪件数は22,275件。そのうち窃盗事件が1,814件ありました。犯人によると『防犯意識が低く侵入しやすい』『幼児施設は夜間人が不在なので入りやすい』とのことです。
防犯性を考えた施設計画としては、外部からの来訪者を確認できるようにして不審者の侵入を防いだり、建物内部、園庭等に死角となる場所がなくなるよう計画する。万が一事故を含めた緊急事態発生時は活用できる通報システムを導入することも重要になってきています。
防犯性を高めた施設づくりがこれからの時代はキーワードなっていきます。
シックハウス
POINT-04
幼児施設も高気密、高断熱化により住宅同様にシックハウスを考慮しなければなりません。
子どもたちは体が小さくても体重あたりの呼吸量が多く、体の機能(中枢神経、免疫、消火器系、生殖系等)は傷つきやすのです。目がチカチカしたり、頭痛や吐き気などのシックハウス症候群が発症しないよう気をつけなければなりません。現行の建築基準法では厳しい基準が設定されており、最高基準のF☆☆☆☆の内装材料を使用することが一般的になりました。
ただし、気をつけなければいけないのはF☆☆☆☆は科学物質であるフォルムアルデヒドの放散量が0.12mg/l以下という基準なので、科学物質に過敏な人はこの基準の判断だけではリスクがあります。また、家具の中にはF☆☆☆☆の基準でないものがあり、その家具を設置したためにシックハウス症候群にかかることがあり要注意です。
自然素材
POINT-05
室内環境の健康への悪影響を考えた場合、有害物質から子どもたちを守るために内装材に自然素材を使うことも有効かと思います。例えば、内装材に木の無垢材や珪藻土等を使用すれば、調湿効果が高く、特に珪藻土は消臭効果まで期待できます。室内の湿度をコントロールできれば、結露を防ぎカビやダニの発生を抑制することができて、結果としてハウスダストを軽減できます。また、視覚的も優しく落ち着いた雰囲気になるのもメリットです。
労働環境
POINT-06
楽しそうに見える幼稚園や保育園。そこでの主役の子どもたちを見守る先生方の仕事はとても大変です。子どもたちに事故が発生しないように配慮したり、保護者に対する対応、事務作業、行事の準備等。日々気を抜くことはできません。保育園では激務がゆえに職員のなり手が少なく、2017年の保育士の有効求人倍率は東京都ではなんと5.99倍と6倍に迫り、東京は極端ですが、全国平均でも2.76倍と高い水準です。求人倍率上昇に伴って給与水準も上がっていますが、実際の働く場の環境が魅力的でないと人が集まらず、人手不足の現在は施設運営も厳しくなってしまいます。
働きやすい園舎施設設計のポイントとしては①動線計画、②職員トイレに充実、③整理しやすい収納、④デスクワークスペースではないでしょうか。
①動線計画は園児との交流と職員間との関連性や連携、協力を円滑に行えるようにゾーニングして各室を構成することが大切です。
②職員トイレへの配慮は古い園舎で見かける例として、便座に座ると膝がブースにぶつかってしまうほど極端に狭かったり、照明の照度が不足していて薄暗く、清潔感が感じられないものです。人間の生理現象なので定期的に使用する場所には気を配りたいものです。
③整理しやすい収納は、どこに何があるかわかりやすく、容量が十分にあることだと思います。整理整頓ができず、ものが散らかっていると思わぬケガや事故が起こる原因となります。園舎設計をする時点でどんな大きさで、どんなものを収納するかを合理的にプランニングすることが肝要です。
④デスクワークスペースは園舎内で落ち着いて作業をすることがなかなか難しいところです。全く閉ざされた空間では子どもたちを管理することができなくなりますので、ちょっとしたスペースで書き物ができる場所を設けると良いと思います。
これらの配慮を建築的にすることができるだけで、働きやすい職場としてアドバンテージが持てつことができ、求人するにも有効なアピールとなります。
ランドマーク
POINT-07
幼児施設の園舎は、建つ地域の人々に親しまれ、地域の風土や歴史を配慮することによって地域のシンボル性を有したランドマークとなります。
また、地域の景観に調和するように色彩計画や建築材料を吟味ことが大切です。
防音性
POINT-08
住宅地にある幼稚園や保育園の計画において、子どもたちの声が騒音の元として、残念ながら計画を断念する例があります。音の問題は個人差があり、感じかたによって違いもありますが、建築側である程度抑制できることがあります。防音性のあるサッシの使用や、住宅が隣接する側に開口部を設けない。防音性のあるフェンスを設けるなどがあります。
ただし、基本的に近隣住民との対話や交流で地域に寄り添うことが重要です。
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