一級建築士事務所
e-style(イースタイル)株式会社
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〒154-0022 東京都世田谷区梅丘1-13-12 UMECUBE401
使いやすさ
POINT-01
高齢者や傷がい者が建物を快適使えるよう配慮する考え方は大きく2つあります。
①生活に障害となるさまざまな物理的な障害(バリア)を取り払う「バリアフリー」
②年齢や障害の有無、性別、国籍を問わず誰にでもわかりやすく使いやすい「ユニバーサルデザイン」
があります。福祉施設では「バリアフリー」が前提とする必要があり、その上で「ユニバーサルデザイン」を求めたものが、利用者に優しく、そして使いやすい建物になります。
「ユニバーサルデザイン」は誰にでも使いとはいえ、実際には使いやすさの感じ方は個人差があるのが難しいところです。
例えば、廊下の手すりの高さは一般的には床から75~85センチが使いやすいと言われていますが、小柄な高齢者が使用するには85センチの寸法では高すぎる場合が多いです。
そのため施設設計をする際に、利用者の身体状況や行動特性を考えて計画を工夫することを重視します。
また、計画する施設が使いやすいよう、深く理解を得るために施設の運営する方々と十分な検討を重ねることが重要となります。
建築設計が施設や設備のハード面でさまざまな障壁(バリア)を限りなく取り除き、使いやすさを求めることが、利用者の利便性や運営者の運用・管理といったソフト面をフォローする計画提案が我々設計者の役目だと考えます。
居住性
POINT-02
高齢者や傷がい者の施設における居住性は、ユニバーサルデザインを考慮した機能性とアメニティに配慮する面を合わせ持ったものが大切かと思います。
ユニバーサルデザインの面では利用者が日常生活や動作に支障をきたさず、なるべく自分だけで生活できるように配慮した設計を行います。
そして生活する場を考えたとき、大きなスケールの施設でも大雑把な空間を造りだすのではなく、住宅のスケールに準じた「しつらえ」が大切です。
施設の利用者は、いままで住みなれた家に近い環境が居心地のいい空間と感じているものです。できる限り住宅スケール基準で考えた要素を取り入れることが、利用者に優しく居心地がいい環境となります。
参考までに高齢者になったときや、体の動作が不自由な傷がい者が、住まいに対する不満を感じるワースト5をご紹介すると以下の通りになります。
1、風呂が使いにくい 2、手すりがない 3、段差がある 4、トイレが使いにくい 5、階段が急であるの順だそうです。
日常生活で身体機能の低下をユニバーサルデザインでカバーする以外に無機質で殺風景な施設ではなく、今まで住み慣れた家に近いものが生活する環境として居心地の良い建物となります。
全てにおいては難しいにしても、利用者が使う空間だけでも温かみのある素材や大きすぎないスケール感を採用することが居心地の良い優しい福祉施設になるのではないでしょうか。
動線計画
POINT-03
こんな経験はありませんか。風邪で高熱が出たときにトイレがとても遠く感じたことを。これは体力を奪われ、だるさ感じるからですね。このような倦怠感を感じることで、動作が不自由な高齢者や障がい者の気持ちがわかると思います。
高齢者は加齢に伴い身体が衰えてきたり、動作がスムースにできなくなった場合、移動が困難になります。そのため利用頻度の高い動線を短くし移動距離を短くする部屋の配置計画が大切です。これは介護をする側の効率も上がるので、利用者に対するサービスも向上するメリットもあります。
明るさ(照明計画)
POINT-04
高齢者になると目の機能低下から室内の明るさを上げる必要があります。読書やものを書いたり、細かい作業をするのに若年層では300~750ルクスの照度があれば大丈夫ですが、高齢者は600~1500ルクスの明るさが求められます。
ただし、闇雲に明るくすれば良いというわけではなく、建物内全体を明るくしすぎるとビニール系床材などを使用した部屋などでは照明が反射して眩しさ(グレアといいます)を感じ、不快感、目の疲労やかえって物が見えづらいことがおこります。これらをふまえ手元の明るさが欲しいところにはスポット的に明るくする照明計画が最近の主流です。
明るさに関わる話として、高齢者になると光に対する感受性が衰えてきて、その影響で体内時計も狂いが生じることがあります。元々人間は1日を25時間周期の体内リズム(サーカディアンリズム)ですが、朝日を浴びることで睡眠から覚醒して体内時計をリセットしています。
これらの影響を考慮して福祉施設設計では照明計画や採光計画が大変重要になります。
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