定期報告の調査項目で特定天井というものがあります。ある一定規模以上の面積と、高さがある体育館やホール等の調査です。
これは東日本大震災で、大規模の特定建築物の天井が脱落して、死傷者が出るなど甚大な被害をおよぼしました。
これらの被害を踏まえ「脱落によって重大な危害を生ずるおそれがある天井」と定められている特定天井について解説します。
・特定天井とは
・特定天井の法制定について
・特定天井の調査方法
・特定天井の調査周期は?
・特定天井の脱落対策
・特定天井の調査の重要性と調査方法まとめ
特定天井とは
特定天井【脱落によつて重大な危害を生ずるおそれがあるものとして国土交通大臣が定める天井をいう】とし
吊り天井で次の要件 ①~③ の全てに該当する場合に『特定天井』に係る技術基準等の適用を受けます。(直天井は除く)
① 居室、廊下その他の人が日常立ち入る場所に設けるもの
② 天井高さが6mを超える天井部分で、その水平投影面積が200㎡を超えるもの(それら
と一体となった天井部分も含まれる。)
③ 天井面構成部材等の単位面積質量が2㎏/㎡を超えるもの
なお、文部科学省の管轄で、学校施設の建物は、以下のいずれかの空間の天井について『特定天井』と定めています。
① 高さが6mを超える天井
② 水平投影面積が200㎡を超える天井
特定天井の法制定について
平成23年3月に発生した東日本大震災においては、体育館、音楽ホール等の多数の建築物において天井が脱落し、かつてない規模で甚大な被害が生じました。
これらの被害を踏まえ、天井の脱落対策に係る基準が新たに定められ、新築建築物等への適合を義務付けすることとする建築基準法施行令及び関連省令の改正(H25.7.12公布)並びに関連告示の制定・改正(H25.8.5公布)がなされ、平成26年4月1日より施行されました。
特定天井の調査方法
特定天井は下記のように調査内容を定められています。
【調査項目】特定天井の天井材の劣化及び損傷の状況
【調査方法】目視により確認する。(天井の室内に面する側、天井裏)
【判定基準】天井材に腐食、緩み、外れ、欠損、たわみ等の有無
さらに具体的な調査内容は、平成 27 年1月 13 日国住指第 3740 号「特定天井の定期調査について(技術的助言)」にて下記のように判定することになりました。
1.調査方法の改正
天井材の劣化若しくは損傷が最も早く進行すると考えられる箇所(結露等の水ぬれが生じやすい箇所、段差部、壁際、柱形部分等)を目視し判定すること。
2.調査対象の各部材
天井材の種別(斜め部材端部取付金具、吊り材、斜め部材、附属金物、天井下地材、天井板等)毎に少なくとも1箇所以上調査すること。
3.調査方法の詳細
① キャットウォーク等の容易に天井裏の空間に入ることができる設備からの調査
② ①のキャットウォーク等が無い場合は調査対象を有効に調査できる点検口からの調査
③ ①及び②のキャットウォークや点検口等が無い場合は、天井面に点検口以外の開口又 は取外しが可能な照明設備等からの調査→新たに点検口を設置することが望ましい
④ ①から③までの全ての設備が無い場合は、新たに点検口を設置する、または、天井裏の点検を行うことが可能となる措置を講じて調査
特定天井の調査周期は?
特定天井の調査は、特定建築物の定期報告(12条点検)の調査項目
4『建築物の内部』の項目の (25)『天井:特定天井』にあります。
調査の際には1級建築士等の有資格者にご依頼ください。
特定建築物の定期報告(12条点検)の調査周期は、特定建築物の用途または規模によって異なりますが、1~3年ごとに調査を行うことになっております。
また、各都道府県の市区町村により調査周期が定められていますので、そちらをご参照ください。
特定天井の脱落対策
特定天井がある既存建築物への対応として、国土交通省は下記のように説明しています。
① ネットやワイヤの設置の基準について 増改築時に適用できる基準として位置付け
② 防災拠点施設など特に早急改善すべき建築物 *について改修を行政指導
* ア.災害応急対策の実施拠点となる庁舎、避難場所に指定されている体育館等の防災拠点施設
イ.固定された客席を有する劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
③ 定期報告制度の活用による状況把握
④ 社会資本整備総合交付金、防災・安全交付金の活用による改修費用への支援
とあり、特に③の定期報告制度で定期的に状況の確認をするこが大切になっております。
出典:国土交通省HPより
特定天井の調査の重要性と調査方法まとめ
体育館やホールなどの大規模施設は、広々として多くの人が集まる場所であり、しばしば天井が高く設計されています。
このような環境では、天井の構造物が何らかの理由で落下する事態が発生した場合、高い位置からの落下により速度が増すため、下にいる人々への危険性が非常に高まります。
特に、大きな地震が起こった場合などに天井材が脱落するリスクを考慮し、これを未然に防ぐためには、天井の状態を定期的にチェックし、その安全性を確保することが極めて重要です。
そのために定期報告調査で状況把握と、建物の維持管理をしおくことが大切です。
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