就労継続支援B型の開設ガイド|設備基準と選ばれる設計のコツ
- estyleishii
- 2022年3月14日
- 読了時間: 4分
更新日:1月29日

就労継続支援B型は、障がいを持つ方々が雇用契約を結ばずに、自分のペースで働くスキルを身につけるための大切な場所です。
近年、利用者の増加とともに事業所数も急増しており、現在はA型の3倍以上の規模となっています。
参入のハードルが比較的低いとされるB型ですが、競合が増える中で重要視されているのが「事業所の差別化」です。単に作業スペースを確保するだけでなく、利用者が「ここで働きたい」と思える環境をどう作るか。
本記事では、B型の基本基準に加え、2026年の最新トレンドを踏まえた「安定運営に欠かせない設計上のポイント」を解説します。
目次
就労継続支援B型の概要:自立と社会参加のステップ
就労継続支援B型は、一般就労への移行が困難な方や、雇用契約に基づく就労が不安な方に対し、就労の機会や生産活動の場を提供するサービスです。
最大の特徴: 利用者と雇用契約を結ばないため、体調や希望に合わせて柔軟に働ける点がメリットです。
作業内容: 以前は軽作業が中心でしたが、最近ではカフェ、製パン、水耕栽培、IT作業など、多種多様な活動が展開されています。
建物設備基準と作業効率を高める空間づくり
B型には、生活介護と同様に「〇〇㎡以上」という一律の面積規定はありませんが、自治体による実務上の目安(例:3㎡/人)が存在します。
訓練・作業室: 20名定員の場合、60㎡程度が目安です。作業内容(大型機械の有無など)に合わせて広さを検討します。
相談室: 相談内容が外に漏れないよう、壁やパーティションで区切られたプライバシーの守られる空間が必要です。
洗面所・トイレ: 衛生管理を徹底できる設備。特に食品加工を行う場合は、専用の手洗い設備が必要になります。
多目的室(休憩室): 昼食や休憩の場。作業室と切り離すことで、オンとオフの切り替えを促します。
【2026年最新】これからのB型事業所に求められる視点
近年の報酬改定や社会情勢を受け、設計において「外せないトレンド」が2つあります。
① 「工賃向上」を支える、高付加価値な工房・店舗設計
国は「工賃(利用者の賃金)」の支払額に応じた報酬単価の区分をより厳格化しています。これからのB型事業所には、単なる居場所ではなく「稼げる仕組み」が求められます。
従来の「作業室」を、一般客が訪れたくなるような「オープンキッチン」や「セレクトショップ」として設計。
ブランドイメージを高めるデザインが、そのまま工賃向上(=事業所の利益)に直結します。
② スタッフの「離職防止」を支えるバックヤード
深刻な福祉人材不足の中、2026年の設計トレンドは「働くスタッフのための環境改善」にシフトしています。
独立したスタッフルームや、ICTを活用した記録業務のための「事務集中カウンター」の設置など、スタッフのストレスを軽減する設計が、サービス管理責任者(サビ管)などの貴重な人材を確保する強力な武器になります。

テナント入居か、新築か?
既存のテナントを利用する場合、以下のハードルに注意が必要です。
用途変更と消防法: 飲食店や物販店だった物件を福祉施設にする際、建築基準法上の用途変更や、スプリンクラー等の追加設置に多額の費用がかかる場合があります。
バリアフリーの限界: 段差やトイレの広さなど、テナントでは根本的な解決が難しいケースも多いです。
長期的な運営コストや安全性を考えると、最初から福祉施設として設計された「新築」には大きなメリットがあります。
開設時に必ず確認すべき注意点
地域の「総量規制」: 地域によっては、すでに事業所数が過剰と判断され、新規の指定が受けられない場合があります。土地を探す前に、自治体の担当窓口への確認が不可欠です。
サービス管理責任者の確保: 建物が完成しても、スタッフが確保できなければ開所できません。設計と並行した早めの採用活動が重要です。
関連法規のクリア: カフェや製パンを行う場合は、保健所の「食品営業許可」が必要になります。福祉の基準と飲食店の基準、両方を満たした厨房設計が求められます。
まとめ:選ばれるB型事業所を目指して
就労継続支援B型の開設は、単なる「作業場の確保」ではありません。
「店舗」としての魅力を持たせ、競合と差別化する。
工賃向上とスタッフの働きやすさを設計で解決する。
用途変更や総量規制といった、専門的な事前確認を怠らない。
利用者が生き生きと働き、地域の方々が気軽に立ち寄れる。
そんな「社会とつながる拠点」を設計の力で実現することが、事業の成功への近道です。
