10年ごとの節目|特定建築物定期報告の「外壁全面打診調査」ガイド
- estyleishii
- 2022年11月23日
- 読了時間: 6分
更新日:1月25日

特定建築物定期報告の調査項目の中で、オーナー様、管理者様が最も費用や時期について検討されるのが「外壁の全面打診調査」です。
通常の定期報告(12条点検)は1〜3年周期ですが、外壁の全面打診は「10年」という長いサイクルで実施されます。
今回は、この調査の目的、実施タイミング、そして近年注目されている調査手法について詳しく解説します。
目次
・まとめ
外壁打診調査が必要な理由と目的
外壁タイルやモルタル、石貼りといった「湿式工法」の仕上げ材は、経年劣化により下地から浮きが生じることがあります。
落下の危険性: 浮きが発生した外壁材が剥離・落下すると、歩行者等に危害を加える重大な事故に繋がりかねません。
特定建築物調査の基準: 通常の定期報告では「手の届く範囲」の打診を行いますが、竣工または改修から10年を経過した後は、手の届かない高所を含めた「全面」の確認が義務付けられています。
これは、目視だけでは判断できない「内部の剥離(浮き)」を打診音によって早期に発見し、事故を未然に防ぐための重要なプロセスです。

神奈川県での外壁調査の写真。
打診棒でタイル面を叩いて打診音で異
常がないか確認。
先端部分のタイルが浮いていました。
全面打診調査を実施するタイミング
全面打診の周期は、建築基準法で「10年ごと」と定められていますが、実務上の起点は以下のようになります。
① 初回のタイミング
竣工(または外壁改修)の翌年度から起算して10年目に行います。
例: 2015年9月に竣工した場合、2016年4月を起算日とし、10年後の2026年度(4月〜翌3月)が調査・報告の対象年度となります。
② 2回目以降のタイミング
前回の全面打診調査、または外壁改修工事(全面)を行った年度の翌年から起算して10年目となります。
③ 外壁改修を行った場合
竣工後20年も経過すれば、多くの建物で大規模修繕(外壁改修)が行われます。この場合、改修が完了した年度を起点として改めて10年周期がスタートします。
計画的な修繕を行うことは、定期報告の適合性を維持する上でも合理的です。
調査が必要な「範囲」の定義
すべての壁面が打診対象になるわけではありません。基本的には、【落下によって歩行者等に危害を加えるおそれのある部分】が対象です。
基準の考え方: 建物の壁面から、壁の高さの1/2の距離の範囲内に、公道、不特定多数が通行する私道、通路、広場などがある壁面が対象です。
対象外となるケース:
壁面直下に強固な屋根、ひさし等(RC造やS造等)があり、落下物を完全に防御できる場合。
植込み等により人が立ち入ることができず、危害を及ぼすおそれがないと判断される場合。
このように、立地条件によっては打診が不要な面もあり、調査範囲を適切に見極めることでコストの最適化が図れます。
主な調査方法とそれぞれの特徴
現在、全面打診には大きく分けて「直接打診」と「赤外線調査」の2つの手法があります。
手法A:直接打診(打診棒・テストハンマー)
調査員が直接外壁を打診し、その音で浮きを確認する最も標準的で信頼性の高い方法です。
メリット: 直接触れるため、浮きの有無だけでなく、タイルのひび割れやシーリングの劣化も正確に把握できます。
実施方法: 高所作業が必要なため、足場設置のほか、ロープアクセス(無足場工法)やゴンドラを利用します。
コスト: 足場を組む場合は高額になりますが、ロープアクセスを選定することでコストを抑えることが可能です。弊社ではロープアクセスで行うことが多いです。
手法B:赤外線調査(赤外線サーモグラフィ)
外壁の表面温度の差を解析し、浮き部(空気層による温度差が生じる箇所)を可視化する方法です。
メリット: 足場やロープが不要なため、地上やドローンから短時間で広範囲を調査でき、コストを抑えやすい傾向にあります。
デメリット: 周辺の建物による影、日照条件、仕上げ材の種類(石貼りなど)によって精度が左右されます。
注意点: 異常箇所が見つかった場合、最終的な確認や補修のために、改めて足場等が必要になることがあります。
調査手法のメリット・デメリット比較
調査手法 | メリット | デメリット |
直接打診(足場・ロープ) | 精度が極めて高く、確実な判定が可能。 小規模な是正ならその場で対応できる場合がある。 | 足場費用のコストや設置期間がかかる。 ロープ工法は天候に左右される。 |
赤外線調査(地上・ドローン) | 調査期間が短く、コスト面で有利。 居住者のプライバシーへの配慮がしやすい。 | 解析に高度な技術が必要。立地条件(隣地との距離が近い等)によっては撮影できない。 |
全面打診調査は信頼できるパートナー選びが鍵
全面打診調査は、10年に一度訪れる非常に重要な法的節目です。
どの調査手法を採用し、どの範囲を調査すべきかは、建物の形状や周囲の環境によって最適解が異なります。
中立的な判断: 特定の手法に固執せず、建物の実態に合わせて「直接打診」と「赤外線」を使い分けられる、あるいは併用を提案できる調査者を選ぶことが大切です。
修繕との連携: 是正箇所が見つかった際に、どのように修繕するのが合理的かを技術的視点でアドバイスしてくれるパートナーは、所有者様にとって心強い存在となります。
まとめ
外壁の全面打診調査は、建物の安全性を客観的に証明する大切な節目です。
該当する時期が近づくと、どのように対応すべきか悩まれることも多いかと思いますが、まずは自社の建物の「前回の報告」や「大規模修繕の履歴」を確認することから始めてみてください。
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