就労継続支援A型を開設するには?基準と「生産性を高める」設計のポイント【2026年最新版】
- estyleishii
- 12 分前
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就労継続支援A型は、障がいを持つ方々と雇用契約を結び、最低賃金を保証しながら一般就労へのステップアップを支援するサービスです。
利用者様にとっては「働く喜び」と「自立」を実感できる大切な場所ですが、運営側にとっては「適切な支援」と「事業としての採算性」を両立させなければならない、非常に高度な経営感覚が求められる事業でもあります。
本記事では、A型の設備基準とともに、2026年現在の厳しい経営環境を勝ち抜くための「生産性を高める施設づくりの工夫」について解説します。
目次
就労継続支援A型の概要:雇用と支援の両立
A型は、B型との大きな違いは「雇用契約」を締結する点です。
役割: 一般企業への就職を目指す方に対し、実際の仕事を通じて知識や能力の向上を図ります。
報酬体系の重要性: 現在の報酬体系は、単なる労働時間だけでなく「スコア方式(就労実績や地域連携、一般就労への移行実績など)」によって評価されます。
このスコアを高めるための環境整備が、安定運営の鍵となります。
建物設備基準と生産性を最大化する配置
B型と同様に施設整備として求められる基準面積の規定はありませんが、雇用契約を結ぶ「職場」としての質が問われます。
訓練・作業室: 1人あたり3㎡程度を目安に、実際の作業内容(PC業務、軽作業、調理など)に応じた効率的な動線計画が必要です。
相談室: 一般就労に向けた面談や、メンタルケアを頻繁に行うため、落ち着いて話せる個室空間が必須です。
休憩室: 労働基準法に準じた適切な休憩スペースを設けることで、集中力の維持と事故防止を図ります。
洗面所・トイレ: 障がい特性に合わせたバリアフリー化はもちろん、一般企業に近い清潔感のある設えにすることで、就労への意識を高めます。
A型事業所に求められる「職場設計」の視点
① スコアアップを支える「地域交流・展示スペース」
2026年現在、地域社会との連携実績は評価の重要なポイントです。
事業所の一部に、生産品を販売するショップや、地域住民が参加できるワークショップスペースを設けることで、評価(スコア)を高めると同時に、利用者様のモチベーション向上につなげます。
② 「集中」と「リラックス」を切り替えるゾーニング
一般就労を目指すA型では、職場としての適度な緊張感が必要です。
一方で、障がい特性による疲れやすさにも配慮しなければなりません。
遮音性の高い作業エリアと、視線を遮ってリラックスできる「カームダウン(静養)コーナー」を明確に分ける設計が、長期的な定着率を高めます。

人員配置について
就労継続支援A型は雇用を生む事業であるため、専門職の連携が不可欠です。
管理者: 1名
サービス管理責任者: 利用者30名に対し1名以上
職業指導員・生活支援員: 利用者数に応じた配置。作業を教える専門家と、生活面を支える専門家の連携が重要です。
開設・設計時の注意点
将来を見据えた施設計画:就労継続支援A型は、雇用契約を結ぶという点で他の就労系サービスとは異なり、制度上「雇用」と「福祉」の両方の性格を併せ持っています。
近年は、A型事業所の役割や位置づけについて国レベルでの議論が続いており、今後は制度運用や評価の在り方が見直される可能性も指摘されています。そのため、A型事業所を計画する際には、「現在の制度要件を満たすこと」だけでなく、将来の事業再編やサービス構成の見直しにも柔軟に対応できる施設計画としておくことが重要です。
具体的には、作業室や共用部を特定の用途に固定しすぎず、就労継続支援B型や他の障がい福祉サービスへの展開も視野に入れた平面計画・設備計画としておくことで、
制度環境の変化があった場合でも、事業の継続性を高めることができます。
用途変更の確認: 工場やオフィスビルをA型事業所に転用する場合、建築基準法や消防
法の用途変更の手続きや、事業を行う業態によっては床荷重や電気容量の確認が必要です。
助成金の活用: 障がい者雇用に関する助成金や、バリアフリー化のための補助金を活用できる場合があります。
施設整備に関しては、神奈川県のように就労継続支援A型単独の「新設(創設)」は、原則対象外だったりしますので注意が必要です。
これらを資金計画に組み込める設計事務所との連携が、初期投資の負担軽減につながります。
一般就労をイメージした「意匠」: 福祉施設然とした建物ではなく、あえて「洗練されたオフィス」や「モダンな工房」のようなデザインにすることで、利用者様のプロ意識を育み、取引先企業からの信頼も獲得しやすくなります。
まとめ:自立への誇りを育む「働く舞台」をつくる
就労継続支援A型の計画は、単なる作業場をつくることではありません。利用者様がプロとして社会に貢献し、自立への自信を深めていくための「誇りを持てる働く舞台」を形にすることです。
スコア制に対応した、地域に開かれた設計を取り入れる。
生産性と福祉的ケアを両立させる、緻密なゾーニングを行う。
一般就労を意識した質の高い環境を整え、事業の持続可能性を高める。
私たちは、運営者様の状況や事業方針を丁寧に伺いながら、
設計の立場から、事業所づくりをサポートしています。

