こども園・保育園・幼稚園の設計|安全・快適・環境・地域の4つの重要ポイント
- estyleishii
- 2024年3月5日
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更新日:2 日前

幼児施設の計画において、設計事務所に求められるのは単なる建物の美観だけではありません。
少子化が進む現代において、選ばれる園となるためには、「働きやすさ(職員の定着)」と「園児の安全・教育環境」をいかに高次元で両立させるかが、認定こども園設計の核心となります。
本記事では、数多くの園舎設計に携わってきた専門的な視点から、保育園設計や幼稚園設計において見落とされがちなポイントと、経営者が設計事務所選びで重視すべき基準を詳しく解説します。
目次
安全設計:見落とされがちな安全設計
こども園・保育園・幼稚園設計において、安全性は「最低基準」ではなく「付加価値」です。重大事故の防止はもちろん、日々の細かなケガを防ぐ設計は、結果として保育士の負担軽減につながります。
床材の選定:機能性とメンテナンスの両立
子供たちが転倒した際のケガを防ぐため、滑りにくく衝撃を吸収する素材選びは園舎設計の基本です。
天然木の活用: 素足教育を行う園では、ヒノキや杉などの無垢材が好まれます。これらは適度な弾力があり、足腰への負担を減らします。
防滑・クッション性: 水回りや廊下には、防滑フロアや衝撃吸収性能(HIC値)の高い塩ビシートを適切に配置します。

窓と建具の安全設計
窓と建具に対して最も注意するのが、指挟み防止と落下防止です。
指挟み防止: 扉の吊元(ヒンジ側)に隙間ができないカバー付きの建具や、ゆっくり閉まるソフトクローズ機能は必須です。
高所窓の操作性: 換気のための高所窓は、子供の手が届かない高さにしつつ、職員が容易に操作できるリモコン式やチェーン式を検討します。
また、複層ガラス(Low-Eガラス)を採用することで、断熱性を高めつつ、万が一の破損時にも飛散しにくいよう飛散防止フィルムを貼り安全性を確保します。

非常時の安全対策と動線
地震や火災などの非常時に備え、園舎設計では「パニック時でも直感的に逃げられる動線」が求められます。
避難経路の可視化: 複数の避難ルートを確保し、家具の配置によって経路が塞がれないような固定レイアウトをあらかじめ計画します。
防災備蓄の配置: 非常時でも即座に物資を取り出せる備蓄倉庫の配置計画は、園全体の安全性を左右する要素であり、園児や職員の安全性を守る重要な動線計画の一つです。
心地よい空間創造:子供たちの心を豊かにする空間設計
「ここで過ごさせたい」と保護者に思わせる空間は、園の入園率に直結します。園舎設計におけるデザインの力は、教育方針を具現化するツールでもあります。
色彩心理学と光のマネジメント
色彩の選定: 興奮を抑え集中力を高めるブルー系、活動を促すイエロー系など、部屋の目的に応じて色彩を使い分けます。
自然光の活用: 太陽光は体内リズムを整え、健康的な成長を助けます。
天窓(トップライト)や高窓(ハイサイドライト)を効果的に配置し、奥まで光が届くよう工夫を凝らします。
自然素材がもたらす安心感
木材などの自然素材は、調湿効果や消臭効果があるだけでなく、視覚的・触覚的な安らぎを与えます。
また、内装の「木質化」は、化学物質の発散を抑え、アレルギー対策としても高く評価されています。
柔軟なレイアウトと「仕掛け」
可動式家具: 年齢や活動(一斉保育・自由遊び)に合わせて空間を仕切れる可動式家具は、限られた面積を最大限に活用するために有効です。
小さな居場所: 広いホールだけでなく、天井の高さを低くしたり、あえて「隅っこ」や「ほら穴」のような小さな空間を作ることで、子供たちの冒険心をくすぐり、落ち着ける場所を提供します。

サスティナブルな建築:環境に配慮した持続可能性
これからの園舎設計には、環境への配慮と運営コスト(光熱費)の削減という2つの側面が求められます。
エネルギー効率の最大化
園舎設計において断熱性能を高めることは、子供たちの健康を守るだけでなく、月々の運営費を劇的に下げます。
高断熱・高気密: 優れた断熱材と高性能サッシの使用により、夏涼しく冬暖かい環境を実現します。
再生可能エネルギー: ソーラーパネルの設置は、非常用電源としての機能に加え、子供たちへの「生きた環境教育」の教材としても活用可能です。
水資源の有効活用
雨水利用システムを設置し、園庭の散水やビオトープの水源に利用することで、環境意識の高い園としての姿勢を対外的にアピールできます。
これは、こども園・保育園・幼稚園設計におけるSDGsへの取り組みとしても注目されています。

地域との関わり:地域とつながる幼児施設
少子化の中、園を存続させるためには「地域に愛される拠点」であることが不可欠です。
設計事務所は、建物を通じて地域との距離感をデザインします。
地域開放スペースの設置
多目的ホール: 週末に地域のワークショップや子育て支援プログラムを開催できるような、外部動線と分離したホールの設計。
ランドマークとしての外観: 地域の景観に調和しつつ、親しみやすさを感じさせるデザインは、法人のブランド価値を向上させます。
地域のニーズへの柔軟な対応
一時預かりや病児保育、あるいは災害時の避難所としての機能を持たせることで、行政や地域住民からの信頼が厚い園舎を実現します。
【まとめ】
幼児施設の設計は、子供たちの未来を創る仕事です。安全設計、快適な空間、サスティナブルな視点、そして地域との共生。
これら4つのポイントをバランスよく取り入れることが、質の高い保育環境への第一歩となります。


