認定こども園・保育園設計の新基準|ノンコンタクトタイムスペース導入メリット
- estyleishii
- 5月29日
- 読了時間: 4分
更新日:11月17日

近年、認定こども園や保育園においては、保育士が園児と直接かかわらない「ノンコンタクトタイム」を計画的に確保することが求められています。
ノンコンタクトタイムとは、園児から離れて、書類作成や研修、ミーティングなどの業務を落ち着いて行う時間を指します。
この時間帯を専用の「ノンコンタクトタイムスペース」として設計に組み込むことで、事務作業の効率化だけでなく、保育士の心理的負荷の軽減や保育の質向上、安全性確保が同時に実現できます。
本稿では、ノンコンタクトタイムスペースの定義や導入メリット、設計ポイントを「認定こども園」「保育園」の両視点でご紹介します。
目次
・ノンコンタクトタイムとは
・ノンコンタクトタイムスペース導入のメリット
・ノンコンタクトタイムスペースの設計ポイント
・補助金制度の活用
ノンコンタクトタイムとは
ノンコンタクトタイムとは、保育士が休憩時間とは別に、園児から物理的に離れて事務作業や研修、ミーティングなどを行う「計画された業務時間」を指します。
いわゆる休憩(リフレッシュ)時間とは区別し、教室や廊下の隅で資料をめくるのではなく、業務専用スペースで集中して取り組むことで、準備作業の質が上がり、保育そのものの充実にもつながります。
ノンコンタクトタイムスペース導入のメリット
1 職員の業務負担軽減
書類作成や保護者対応のために保育室や廊下の隅で作業するケースが多く、集中できない課題がありました。
専用スペースなら、必要な設備(デスク、ノートPC、タブレット、ICT機器)を揃えることにより効率的に業務を進められます。
結果として、事務処理時間が短縮され、子どもとのふれあい時間の確保にもつながります。
2 保育の質向上
教育・保育の計画作成や振り返りを落ち着いて行えることで、保育プログラムの精度が高まります。
他の保育士と情報共有しやすいレイアウトにすることで、連携力も強化できます。
3 保育士の定着率向上
過重労働による離職防止や働き方改革の一環として注目。
スペース導入事例では、作業効率アップにより、休憩を取りやすくなったまたは業務後の疲労感が減るといった効果があります。
ノンコンタクトタイムスペースの設計ポイント
1 配置計画
保育室がある保育エリアとのゾーンを分離。
保育室・遊戯室から適度に距離を取りつつ、緊急時はすぐに駆けつけられる動線を確保。
2 設備仕様
フリーアドレスデスクやスタンディングデスクを採用し、作業スタイルに柔軟に対応。
タブレット・PC・プリンターを同時利用できるLAN・電源計画と、個人用の書類整理用のロッカー・可動棚などを配置。
3 空調・照明計画
作業に適した照度(500~700lx)を確保し、個別空調や加湿・除湿機能、空気清浄機などで快適性を高める。
音環境を配慮し、保育室音や廊下の騒音を軽減する防音対策を施す。
4 リフレッシュ要素
自然光を取り込む窓や、観葉植物の配置し、視覚的な癒し効果をプラス。
ソファやリラックスチェアを設置し、短時間でも休息できる工夫も大切。

補助金制度の活用
園舎を建て替えや増築、模様替え時にノンコンタクトタイムスペースを設置する場合に、活用可能な主な補助金制度を紹介します(2025年5月現在)。最新情報は必ず自治体等のHPでご確認ください。
・就学前教育・保育施設整備交付金(こども家庭庁)
認定こども園、保育所、地域型保育などを対象に、増改築費用の一部を補助。
下記参照↓
・地方自治体の独自助成
各市区町村が運営する保育施設整備補助金。
補助率や対象経費は自治体によって異なるため、設計開始時に窓口へ事前相談が必要です。

【まとめ】
ノンコンタクトタイムスペースは、認定こども園、保育園の設計において「保育士の働き方改革」と「保育の質向上」を両立させる有効な手法です。
ICT・設備環境をバランスよく配置し、休憩とは異なる計画的業務時間を明確化することで、現場の負担を大幅に軽減できます。
また、建て替え以外にも増築、増改築の改修を行う場合には補助金を活用すれば、初期投資を抑えつつ最新のワークスタイルに対応した施設づくりが可能になります。



