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こども園・保育園・幼稚園の空間設計|子どもの成長を支える4つの要素

  • 執筆者の写真: estyleishii
    estyleishii
  • 2024年2月14日
  • 読了時間: 7分

更新日:2 日前

保育園 園舎

子どもたちの成長を考えるとき、一日の大半を過ごす「園舎」という空間をどうつくるかは極めて重要です。

乳幼児期は身体的、認知的、そして社会的な発達が劇的なスピードで進む時期であり、周囲の環境がこれらの成長の質を大きく左右します。


現在、認定こども園の設計や保育園の建て替えを検討されている理事長・園長先生にとって、単に基準を満たすだけでなく「いかに子どもの可能性を引き出すか」という視点は、選ばれる園になるための最優先課題ではないでしょうか。

本記事では、子どもたちにとって理想的な環境を提供するための「4つの重要要素」を詳しく解説します。   

目次


快適性:健康と集中力を支える快適空間


幼児期の脳や身体の発達には、外部環境が決定的な影響を及ぼします。

園舎の設計事務所として私たちが最も重視するのは、子どもたちが「守られている」と感じられる安心感、すなわち「快適性」の担保です。

 

快適性が子どもたちにもたらすメリット

適切な温度、柔らかな光、静かな音響環境は、子どもたちのストレスを劇的に軽減します。


  • 集中力の向上:適切な照明と心地よい室温は、ひとつの遊びや学びに没頭できる「深い集中」を生み出します。


  • 情緒の安定:不快な刺激が取り除かれた空間は、子どもの精神的な安定を育み、他者への共感能力や社会的な相互作用をポジティブなものに変えていきます。

 

快適性が不足することによるデメリット

逆に、快適性が損なわれた環境では、子どもたちは常に微細なストレスにさらされます。


  • イライラと不安:不適切な室温や眩しすぎる光、騒がしい反響音は、子どもを落ち着かなくさせ、些細な衝突や集中力の欠如を招きます。


  • 身体的な不調:光の質が悪ければ生活リズムが崩れ、換気が不十分であれば健康維持に支障をきたします。

 

快適性を実現する具体策

園舎設計において、私たちは以下のアプローチで快適性を追求します。


  • 自然光の戦略的活用:直射日光を遮りつつ、部屋の奥まで柔らかな光を届ける窓配置。


  • 高度な換気・空調システム:新鮮な空気が常に循環し、足元が冷えない輻射熱を利用した空調計画。


  • 音響設計の最適化:吸音材を効果的に使用し、先生の声が通りやすく、かつ騒音が反響しない「静かな保育室」の実現。


  • 子ども目線の家具選定:身体にフィットするサイズ、かつ化学物質を含まない安全な天然素材(国産無垢材など)の選定。


保育園 園庭














刺激:色と形で刺激する子どもの創造力


子どもたちの脳は「驚き」と「発見」を求めています。

環境からの適度な刺激は、学習意欲を高め、好奇心の種をまく役割を果たします。

 

刺激を提供することで生まれるメリット

色彩豊かな空間や、興味深い形状のデザインは、子どもの感情を豊かにし、創造的な思考を促します。


  • 空間認識能力の発達:幾何学的な形や高低差のある設計は、移動する楽しさを通じて空間を把握する能力を養います。


  • コミュニケーションの活性化:視覚的に魅力的な空間は「あれは何だろう?」という対話を生み、言語能力の発達を助けます。


刺激が不足した空間のデメリット

単調すぎる空間(真っ白な壁、画一的な四角い部屋)は、子どもの知的好奇心を停滞させる恐れがあります。

多様な経験が得られない環境では、問題解決能力や想像力が育ちにくく、知的な成長の機会を逃してしまいかねません。

 

園舎設計における「刺激」の具体例

  • 意図的なカラープランニング:集中を要するエリアには落ち着いた青、活発なエリアには温かみのあるオレンジなど、心理学に基づいた色彩計画。


  • 形状の遊び心:丸窓や三角屋根のニッチ(壁のくぼみ)、自然の造形を模した柱、デン(ほら穴)など、空間にリズムを生むデザイン。


  • 表現のアトリエ:子どもたちの作品が美しく展示され、いつでも自分の表現を肯定してもらえる専用のギャラリースペース。


保育園 エントランス














可動性と柔軟性:成長に対応する変化する空間で学ぶ


子どもの成長は一人ひとり異なり、日々変化します。園舎設計に求められるのは、その変化を「拒まない」空間づくりです。

 

柔軟な空間がもたらすメリット

空間が用途に合わせて形を変えられることで、子どもたちは多様な学習体験を得られます。


  • 最適化された環境:大規模な集団活動から、2〜3人での秘密基地のような遊びまで、その時の目的に合わせた「居場所」を自分たちで作ることができます。

 

  • 自発的な学び:環境を自ら構成する体験は、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の第一歩となります。

 

固定された空間のデメリット

「この部屋はこの遊びしかできない」という固定的な設計は、子どもの想像力を枠にはめてしまいます。

変化のない空間は飽きを招き、自発的に探究しようとする意欲を削いでしまう可能性があります。

 

建築・設備による柔軟性の確保

  • 可動式の間仕切りと家具:クラスの枠を超えた合同保育や、一時的な預かり保育にも柔軟に対応できる平面計画。

 

  • 変形可能なプレイエリア:移動可能な遊具やボルダリング壁など、成長段階に合わせて難易度や配置を変えられる工夫。

 

  • 照明の多灯分散配置:場所を限定せず、どこでも机を並べて作業ができる柔軟なライティング計画。

保育園 園庭














自然とのつながり:自然の中で学び 心と体の発育を促す


自然との触れ合いは、乳幼児期の感覚発達において代えがたい価値を持ちます。室内と屋外を分断せず、ひとつの大きな学び場として捉えています。

 

自然とのつながりが生むメリット

自然界の不規則な形や音、光は、子どもに深い安らぎと強い知的好奇心を同時に与えます。

 

  • 生命への理解:·        草花の芽吹きや虫の観察、落ち葉の色の変化を通じて、子どもたちは言葉にできない「季節の移ろい」を肌で感じます。

    これは、環境に対する感謝や共感性を育む土台となります。

 

  • 挑戦心を育む身体活動:·        起伏のある土の山や、形が一定ではない樹木。これらに触れることは、バランス感覚や筋力だけでなく、「どうすれば登れるか」という思考力と挑戦する意欲を自然に養います。

 

自然が不足することによる「機会損失」

土や緑といった「変化し続ける要素」が日常から遠ざかってしまうと、子どもたちが本来持っている「自ら環境に関わろうとするエネルギー」を十分に引き出せない懸念があります。

 

  • 「探究心の芽」が育ちにくい環境: 常に管理された平坦で人工的な環境(例えば、クッション材とプラスチック遊具だけの空間)では、子どもたちが「なぜだろう?」と疑問を持つきっかけが少なくなります。自然が持つ「予測不可能な変化」こそが、子どもの思考を刺激し、知的好奇心を最大化させるのです。

 

  • 実体験を通じた学びの不足: 五感(手触り、匂い、音)をフルに活用する経験が少なくなると、実感を伴った知識の習得が難しくなります。これは単なる健康面の問題ではなく、自分を取り巻く世界をポジティブに捉え、主体的に関わろうとする意欲(非認知能力)の育成において、大きな機会損失となり得ます。

  

園舎を「自然の学び舎」にする設計手法

認定こども園や保育園の設計事務所として、私たちが提案するのは以下のような「日常的に自然を感じる仕掛け」です。

 

  • バイオフィリックな屋外空間:人工芝を最小限に抑え、あえて凹凸のある土の斜面や、水場、実のなる木を配置。子どもたちが自ら遊びを発明できる「未完成な庭」を設計します。

 

  • 大開口の窓とウッドデッキ(中間領域):室内から空や木々が常に視界に入り、裸足のまま外へ飛び出せる「縁側」のような空間。室内外をシームレスにつなぐことで、雨の日でも自然の気配を感じながら過ごせます。

 

  • 自然素材の積極採用:石、木、レンガ、畳。本物の素材を適材適所で採用し、冷たさや温かさ、質感の違いを日々の生活の中で認識できる環境を整えます。

保育園 ホール














まとめ


幼児期の空間設計において、「快適性」「刺激」「柔軟性」「自然」という4つの要素をどう組み合わせるかは、その園の保育理念を形にすることと同義です。

認定こども園、保育園、幼稚園の設計は、単に法律をクリアするだけの作業ではありません。子どもたちの10年後、20年後の姿を想像し、地域に愛され、選ばれ続ける園を創り上げることです。







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