
認定こども園の設計において、子どもたちの安全や学びに配慮することはとても重要です。
しかし、設計の過程では見落としてしまいがちな点がいくつかあります。
本記事では、安全性、利便性、音響設計、衛生環境、光環境の5つのテーマに焦点を当て、設計の注意点を解説します。
これらを考慮することで、子どもたちが安全で健康的に学び、成長できる環境をつくれます。
目次
・安全に配慮できているか
・利便性を高めて快適さと効率を実現する
・音響を整えて理想的な教育環境にする
・衛生環境を向上させる
・光環境で学びと発達を促進する
安全に配慮できているか
認定こども園の設計では、子どもたちの安全が最も重要な要素です。
しかし、詳細設計では見落としてしまうことがいくつかあります。
例えば、不適切な高さの手すりや鋭い角、滑りやすい床材の使用などです。
これらは転倒や怪我のリスクを高め、子どもたちの安全を脅かします。
設計段階での考慮点
これらのリスクを防ぐためには、設計段階から子どもたちの視点を取り入れることが重要です。
手すりの高さは身長や動きを考慮することはもちろん、横格子などの足がかけられるデザインは避けなければいけません。
滑りにくい床材を選定するだけでなく、滑って転倒したときに危なくないように家具や造作を工夫する必要があります。
また、非常時の避難経路や安全な場所の確保も重要なポイントです。
避難経路のわかりやすいこと、階段や扉が幼児の身体能力に合っていることが大切です。
設計がもたらすメリット
これらは子どもたちの安全を守るだけでなく、保護者や教職員の安心感を高めます。
安全な環境は、子どもたちが自由に探求して学ぶことを促し、教育の質を高める効果も期待できます。
また、事故の減少は運営上のリスクとコストを低減させ、園の評判や信頼を高めることにも繋がります。
安全性を重視した設計は、子どもたちの幸せな成長と、園の持続可能な運営のために不可欠な要素です。

利便性を高めて快適さと効率を実現する
認定こども園の利便性は、日常のスムーズな運営に直結します。
しかし、職員や保護者の動線、収納スペースの不足、固定的な空間配置などがしばしば見落とされます。
これらは日々の業務効率を低下させ、子どもたちが活動する空間や時間を制限してしまう可能性があります。
設計段階での考慮点
利便性を高めるためには、動線計画と適切な収納スペースが重要です。
保護者が子どもを迎えに来やすい駐車場やエントランスの設計、そのほか、職員の業務効率を考慮したキッチンや事務スペースの配置、多目的に利用可能な柔軟な活動エリアの設計が必要です。
これらの要素は日々の運営をスムーズにし、子どもたちの安全と快適さを保ちながら、職員と保護者の負担を軽減します。
設計がもたらすメリット
利便性を考慮した設計は、園の運営効率を向上させ、職員の仕事負担やストレスを軽減します。
これにより、職員は子どもたちのケアや教育により多くの時間をあてられるようになります。
また、この効果は保護者にとっても同様です。
園への満足度が高まることで、良好なコミュニケーションを促進します。
結果、利便性を重視した設計は園全体の快適さと効率性を高め、子どもたちの充実した園生活を支えます。

音響を整えて理想的な教育環境にする
認定こども園における音響設計は、子どもたちの学びや快適さに大きく影響します。
しかし、適切な音響環境を整えるのは簡単ではありません。
音響環境が悪いと反響やエコーが発生し、集中力の低下を招くだけでなく、近所への騒音になったりします。
設計段階での考慮点
効果的な音響設計を行うためには、吸音材料の選定、音響設備の選定、遮音への配慮が必要です。具体的には以下の手法が効果的です。
・天井や壁に吸音パネルや吸音タイルを設置。
・床には音を吸収するカーペットやクッションフロアを選択。
・音楽活動や集会用に適したスピーカーシステムの設置。
・各部屋やエリアに応じた音量調節が可能な音響システムの選定。
また、遮音については、窓を閉めた状態で空調や換気が十分に行われるよう検討しておきましょう。
設計がもたらすメリット
適切な音響設計により、子どもたちは快適な環境で学びや遊びに集中できるようになります。
騒音によるストレスの軽減は、子どもたちの心身の健康に良い影響を及ぼします。
発表会などの行事もスムーズに行うことができ、職員の負担軽減や保護者の満足度向上にもつながります。音響設計は、子どもたちの成長と学びの環境を豊かにする重要な要素です。

衛生環境を向上させる
認定こども園の衛生環境は子どもたちの健康に直結しますが、換気不足や清掃不足、不適切な衛生設備などが原因で衛生環境は悪化します。
不衛生な環境は子どもたちの心理的な不快感や学びへの集中力の低下にも繋がるだけでなく、感染症のリスクを高めたり、アレルギーや呼吸器系の問題を引き起こす可能性があります。
設計段階での考慮点
衛生的な環境を確保するためには、次のようなことに注意する必要があります。
・十分な換気
・自然光の取り入れ
・清掃しやすいシンプルな内装や家具
・適切な場所に配置された衛生設備
また、手洗いや消毒が容易に行えるような環境の整備も必要です。
設計がもたらすメリット
清潔で衛生的な環境は、子どもたちの心身の健康を保ち、感染症の発生を抑制します。
また、清掃が容易な設計は、日々のメンテナンスの手間を減らし、長期的には運営コストの削減にも繋がります。
衛生環境の優れた設計は、子どもたちの最適な成長環境を提供し、園の信頼性と評価を高めます。

光環境で学びと発達を促進する
認定こども園での光環境設計は、子どもたちの心身の健康に大きく影響します。
そのため、自然光の不足や不均一な照明、眩しさを引き起こす照明設計には注意が必要です。
これらは心理的な不快感や集中力の低下だけでなく、子どもたちの視力に悪影響を及ぼします。
設計段階での考慮点
効果的な光環境を実現するためには、以下の点に注意することが大切です。
・自然光を最大限に活用する
・人工照明は目に優しく、なるべく均一な光を使用する
・読み書きをする場所は十分な明るさを確保する
・直接日光が強い場所はカーテンを設ける
光源の配置も、子どもたちの活動スペースや目線の高さを考慮して行うべきです。
設計がもたらすメリット
適切な光環境の設計は、子どもたちの視力保護と心理的な安定に貢献します。
自然光の豊かな環境は、子どもたちの身体的、情緒的な健康を促進し、学習や活動への集中力を高めます。
光環境に配慮した設計は、子どもたちの健全な成長を支えるとともに、快適で刺激的な学習環境を提供します。
認定こども園の設計で見落としがちなこと【まとめ】
本記事で紹介した安全性、利便性、音響設計、衛生環境、光環境に関する考慮点は、保育園や幼稚園の設計において欠かせない要素です。
これらを適切に取り入れることにより、子どもたちは安全で健康的な環境で学べます。
子どもたちの心と体の健康を育むために、これらの設計上のポイントに注意を払うことが、教育施設としての質を高める鍵となります。