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「広いだけの部屋」にしない!こども園・保育園・幼稚園の多機能スペース設計 8つの工夫

  • 執筆者の写真: estyleishii
    estyleishii
  • 2024年3月8日
  • 読了時間: 5分

更新日:2 日前

認定こども園の多機能スペース

園舎設計において、最も贅沢であり、かつ計画が難しいのが「多機能スペース(多目的ホール・プレイルーム)」です。


建て替えや新築を検討される理事長先生・園長先生からよく伺うのは、「行事の時以外も有効活用したい」「限られた面積の中で、子どもの主体性を育む仕掛けを作りたい」という切実な声です。


しかし、一歩間違えると、広すぎて落ち着かない空間になったり、使い勝手が悪く物置のようになってしまったりすることも少なくありません。

本コラムでは、園舎づくりの現場で大切にしている、「生きた多機能スペース」を生むための8つの工夫について解説します。


目次


  縁側(デッキ)がつなぐ室内外のゆるやかな境界


自然とのつながりは、子どもの情緒安定と探求心に欠かせません。単に窓を大きくするだけでなく、室内と屋外を緩やかにつなぐ「深い軒を持ったデッキ(縁側)」が、活動の幅を広げます。


  • 設計の工夫: サッシの段差をなくしたフラットな納まりにすることで、0歳児の外気浴から、雨天時の半屋外遊びまで、子どもたちが自分の意思で外へ向かえる環境を作ります。


  • 教育効果: 日常的に日光を浴び、植物や昆虫に触れる機会が増えることで、自然界のリズムを肌で学ぶきっかけが生まれます。


  地域に開かれた「交流の場」としてのホール計画


認定こども園には、地域の子育て世帯を支える拠点としての役割も期待されています。


  • 設計の工夫: ホールをエントランス付近に配置し、外部からの動線と園児の動線を適切に分ける計画を立てます。

    これにより、セキュリティを確保しながら、子育て支援室やワークショップの場として開放しやすくなります。


  • 成長への寄与: 多様な年代の人々と交流する場があることで、子どもたちは地域社会の一員としての意識を育んでいきます。


  現代の保育を支えるデジタルインフラの整え方


タブレット学習やICTによる業務効率化が進む中、後付けの配線は美観を損ねるだけでなく、転倒事故の原因にもなりかねません。


  • 設計の工夫: 充電用の専用収納や、多人数が同時接続しても途切れない通信機器の配置をあらかじめ計画に組み込みます。


  • 運用の視点: コンセントの位置や数、将来の機器入れ替えを見越した壁の補強など、目に見えない部分を整えておくことが、開園後のスムーズな運営を支えます。


  落ち着きと集中を生む「音響環境」のコントロール


感覚的な学習を促進するためには、空間の「聞こえ方」を整えることが重要です。


  • 設計の工夫: 広いスペースは音が反響しやすく、子どもの声が「騒音」に感じられることがあります。天井や壁に吸音効果のある素材を意匠的に取り入れることで、落ち着いた音声環境を確保します。


  • 学びの質: 音楽やリズム遊びにおいて、クリアな音を聴く体験は、聴覚の発達と言語能力の向上を助けます。


認定こども園の半戸外なランチルーム

  食育の実感を生む「キッチン・ガーデン」の連携


植物の育成から収穫、そして調理へ。この体験を物理的な動線でつなぎます。


  • 設計の工夫: 多機能スペースのテラスに隣接して菜園を配置し、泥を落とせる屋外シンクを設置。

    さらに、調理室の様子が見えるカウンターや窓を設けることで、体験の連続性を作ります。


  • 環境教育: 自分が育てたものを食べる体験は、自然への感謝と、食べ物の価値を学ぶ生きた教材となります。す。


  「動」と「静」を切り替える空間のボリューム


自由な学びを促進するには、動き回れる広さだけでなく、活動に応じて空間を区切れる仕組みが有効です。


  • 設計の工夫: 開放的な大空間の中に、可動間仕切りやロールスクリーンを設置します。

    一つの部屋を、用途や人数に合わせて柔軟に使い分けられるように平米数を配分します。


  • 安全性: 走り回っても足腰への負担が少ない、衝撃吸収性の高い床材を選定することも、子どもたちの活発な動きを支える大切な要素です。


認定こども園の園庭

  表現意欲を育むアートウォールと床材の工夫


創造性を表現する場所を限定せず、日常を過ごす壁面をキャンバスに変えます。


  • 設計の工夫: 壁面の一部に大きな黒板やホワイトボードを埋め込みます。

    あわせて、その周辺の床材を掃除しやすい素材に切り替えることで、汚れを気にせずダイナミックに描ける環境を整えます。


  • 自己肯定感: 自分の作品が、ライティングされた壁面に飾られる仕組みを作ることで、表現することの喜びと自信を育みます。


  集中と休息のための「アルコーブ(小さな居場所)」


広い部屋の中に、あえて一人や二人で過ごせる「小さな居場所」を作ります。


  • 設計の工夫: 壁の一部を凹ませた「アルコーブ」や、本棚に囲まれたベンチを設けます。


  • 学びの質: 多言語の絵本や図鑑を、落ち着いて読みふけり、深く集中できる環境は、子どもたちの知的好奇心を満たす「隠れ家」のような場所となります。


 【まとめ】多機能スペースは、園の「未来」を映し出す場所


多機能スペースの設計において大切にしたいのは、「10年後、20年後も子どもたちが主役でいられる空間か」という視点です。


  • 子どもの発達を支える、適切な視覚・聴覚への刺激。

  • 先生方の業務を助ける、機能的な設備。

  • 保護者が園の理念を直感的に感じ取れる、調和の取れた意匠。


これらを丁寧に統合し、「ただ広いだけの部屋」を「学びや発見が生まれる場所」へと変えていくこと。

先生方が大切にされている保育の想いを伺い、補助金の制約など現実的な条件をクリアしながら、最大限の価値を引き出す。その対話を重ねていくことが、理想の園舎づくりへの道だと考えています。




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